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指差呼称の定義
指差呼称(しさこしょう)とは、作業者が対象物や計器などを指差し、その名称や状態を声に出して確認する安全確認の手法です。
定義のポイント
- 指差し: 対象物を指で差し、視覚的に確認します。
- 呼称: 対象物の名称や状態を声に出して確認します。
- 目的: ヒューマンエラーを防止し、安全性を高めることです。
指差呼称の目的
指差呼称は、以下の目的で実施されます。
- 注意力の向上
- 確認漏れや勘違いの防止
- 安全意識の向上
- 作業の正確性向上
指差呼称が有効な場面
指差呼称は、以下のような場面で特に有効です。
- 危険を伴う作業
- 複雑な作業
- 繰り返し行う作業
- 確認ミスが許されない作業
指差呼称は、鉄道業界や製造業などで広く用いられており、安全確保のための重要な手段となっています。
指差呼称の別な呼び方
指差呼称には、以下のような別な呼び方があります。
- 指差喚呼(しさかんこ)
- 鉄道業界でよく使われる言葉です。
- 指差称呼(しさしょうこ)
- 指差唱呼(しさしょうこ)
- 指差確認(ゆびさし かくにん)
- 一般的に広く使われる言葉です。
これらの呼び方は、業界や企業によって使い分けられている場合があります。
それぞれの言葉の意味合いはほぼ同じで、対象物を指差し、声に出して確認するという行為を指します。
指差呼称の別な呼び方(英語&中国語)
指差呼称は、英語と中国語では以下のように表現されます。
英語
- Pointing and calling
- Point and call
- Pointing and calling out
- Call out and point
中国語
- 指差呼称(zhǐ chā hū chēng)
- 指差确认(zhǐ chā què rèn)
- 指差口呼(zhǐ chā kǒu hū)
指差呼称は日本発祥の安全確認手法であり、海外でも安全意識の高い現場を中心に導入されつつあります。そのため、上記以外にも現場や企業によって様々な表現が使われることがあります。
指差呼称の歴史
指差呼称の起源については、参考文献にある「機関車と共に」に出ており、明治 末年に神戸鉄道管理局でルール化された物である。
明治末年、目が悪くなった機関手の堀八十吉が機関助手に何度も信号の確認をしていたのを、同乗した同局の機関車課の上司の方が堀機関手が目が悪いことに気がつかずに素晴らしいことであるとしてルール化したもので、「機関車乗務員教範」(神戸鉄道管理局 大正2年7月発行)に、指差呼称がでてくる。
戦前に日本の鉄道システムを学んだ韓国や台湾においても、指差呼称は実施されており、日本の鉄道が生んだ安全確認システムは、海外にも導入されている。 指差喚呼については、炭坑等危険と隣り合わせの職場から広まり、現代に受け継が れている。
発展と普及
- 鉄道業界における安全確認の実践として広まり、その有効性が認められ、他の業界にも広がっていきました。
- 鉄道総合技術研究所の効果検定実験や、広島大学の研究論文などによって、指差呼称の効果が科学的に証明され、普及を後押ししました。
現代における指差呼称
- 現在では、鉄道業界だけでなく、製造業、建設業、医療現場など、さまざまな分野で安全確保のための重要な手段として活用されています。
- ヒューマンエラー防止のための有効な手段として、その重要性はますます高まっています。
指差呼称の必要性
1.人間特性
• 人間はもともと心理学的には欠陥だらけの動物です。いろいろなエラーをするのは,むしろあたりまえ。
• その不完全な人間の心の特性をできるだけ正しくとらえて物の面や人の面でなんとかエラーをしないようにまたエラーしても事故にならないよ うも与していくことが必要。
• ここでは,人間の心の働きのうち,不注意,錯覚,省略行為・近道反応とい う3つの人間特性から「指差呼称の必要性」を説明。
2.不注意
安全な作業をするためには,危険と不注意を結合させないようにすることが必要で,そのため作業行動の要所要所で指差呼称によって「意識レベルをギアチェ ンジ」してクリアにウッカリ・ボンヤリ・不注意を防ぐことが不可欠になって くるのです。
3.錯覚
• 人間はすべてのことをすべて正確に知覚し,正確に判断して行動すること はできません。正確に知覚しうる範囲には限界があり,しばしば感覚にひずみを起こして錯覚することが心理学の研究で明らかにされています。
• 「人間は当然錯誤する」ということを十分・に知ったうえで安全を進め ていく必要があります。類似したバルブやスイッチなどを,勘違いしないように物の面の対策を進めるのと同時に指差呼称で「意識レベルをギアチェンジ」してクリアにしはっきりと対象を確認して操作する必要があるのです。
4.省略行為・近道反応
人間はしばしばやらなければいけない手順を省略したり,禁止されている近道を選んだりしがちです。決められた保護具を着用しなかったり(省略行為),材料の上を歩いたり(近道反応)して,それが事故や災害の原因と なるのです。
大丈夫だろうという憶測判断からつい省略したり近道したり不安全な状態を放置したりします。
指差呼称の効果実験
1994年、財団法人(現、公益財団法人)鉄道総合技術研究所により、効果実験が 行われました。同実験によれば、「指差しと呼称を、共に行わなかった」場合の操 作ボタンの押し間違いの発生率が2.38%であったのに対し、「呼称のみ行った」場 合の押し間違いの発生率は1.0%、「指差しだけ行った」場合の押し間違いの発生 率は0.75%でした。
一方、指差しと呼称を「共に行った場合」の押し間違いの発生率は0.38%となり、 指差しと呼称を「共に行った」場合の押し間違いの発生率は、「共に行わなかっ た」場合の発生率に比べ、約6分の1という結果でした。
指差呼称だけでヒューマンエラーの根絶を実現することはできませんが、上記の実 験、研究から、指差呼称は、「意識レベルを上げ、確認の精度を向上させる有効な 手段」であるといえます。
指差し呼称の有効性
故橋本邦衛(日大生産工学部教授)は、意識レベルには5段階あり、日常の定常作 業は、ほとんどレベルⅡ(正常でくつろいだ状態)で処理されるので、レベルⅡの 状態でもエラーしないような人間工学的な配慮をする必要があると同時に、非定常業務のときは、自分でレベルⅢ(正常で明快な状態)に切り替える必要があり、そのためには指差し呼称が有効であると言っています。(表 3-2-1)
指差呼称の基本的なやり方
指差呼称は、目・手・口・耳を使って意識的に確認を行うことで、ミスを防ぐための手法です。以下の手順で実施します。
1. 指を差す
- 確認対象(信号、機械のスイッチ、計器など)を明確に指差す。
- 指は伸ばし、対象物に向けてしっかりと動作を行う。
📌 ポイント:
- ただ手を動かすのではなく、「意識的に」指を差すことが重要。
- 自分自身が認識しやすい角度や位置で行う。
2. 目で見る
- 指差した対象をしっかりと視認する。
- 目視確認することで、注意を集中させる。
📌 ポイント:
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- ぼんやりと見ずに、しっかりと焦点を合わせる。
- 「見たつもり」ではなく、「確かに見た」と意識する。
3. 声に出す
- 対象物の状態を明確に発声する。
- 例えば:
- 「信号、青!」
- 「スイッチ、オフ!」
- 「手袋、装着よし!」
📌 ポイント:
- 小さな声ではなく、はっきりとした声で発声する。
- 他人に聞かせるためではなく、自分自身の意識を高めるために行う。
4. 耳で聞く
- 自分の発した声を耳で聞いて、再確認する。
- 声に出すことで、意識の定着が強化される。
📌 ポイント:
- 言葉にした内容と実際の状況が一致しているかを確認する。
- 確認した後も、気を抜かないように注意を払う。
5. 必要ならもう一度確認する
- 状況によっては、再度指差呼称を行う。
- 特に重要な場面では、**「ダブルチェック」**の意識を持つ。
📌 ポイント:
- 単なる形式的な動作にならないように、実際の確認作業として行う。
- チームで行う場合は、お互いに確認し合う。
指差呼称の具体例
業界 | 指差呼称の例 |
---|---|
鉄道業界 | 「信号、青!進行よし!」 |
工場・製造業 | 「スイッチ、オフ!安全よし!」 |
建設現場 | 「ヘルメット、着用よし!」 |
倉庫・物流 | 「棚の位置、確認よし!」 |
〈行動の要所要所での確認法(基本型)〉
画像出典先:厚生労働省 安全衛生関係リーフレット
指差し呼称項目の決め方と確認対象
指差し呼称は行動の要所要所で行いますが、次のようなケースを参考に指差し呼称 の必要な箇所を選定します。
① これまで事故・災害や重大なミスがあった業務
② 手順を間違えた場合に重大な事故・災害に結び付きそうな業務
③ 業務が複雑あるいは、類似内容で間違いやすい業務
そして次にあげるようなものを確認の対象とします。
人の行動を確認!
(a)自分自身
①位置:(対象物との距離はよいか、周囲はよいか)
②姿勢:(頭・腕・足・腰などの位置はよいか)
③服装:(作業帽・作業服・ボタン・そで口など)
(b)共同作業者: 相手の位置、姿勢、服装、保護具、合図 など
物の状態を確認!
(a)計器類 (b)操作機器 (c)治工具
(d)資材・製品などの置き方 (e)標識 (f)保 護 具
(g)その他
業種業態によって確認すべきポイント・項目 内容はさまざまです。
指差呼称の難しさ
恥ずかしい 照れくさい どうやって恥ずかしさ,照れくささを乗り越えるか。
1.まず教育と訓練-とくにKYTと一体にトレーニングすること。
2.指差呼称項目設定,実践方法などについての職場でのホンネ の話し合いと,しぼりこみ。
3.上司の率先垂範。
4.全事業場(間接部門を含めて)での実施。
指差唱和の実践
指差唱和は、全員でスローガン等の対象を指差し、唱和して確認することにより、 気合を一致させ、チームの一体感・連帯感を高めることをねらいとした手法です。
一般に、朝礼・終礼時に「一人ひとりカケガエノナイひと ヨシ!」などのスロー ガンや、KYTの確認項目(第2ラウンド:危険のポイント、第4ラウンド:チー ム行動目標など)を確認しあったり、実行を誓い合う時などに用いられます。
タッチ・アンド・コールの実践
タッチ・アンド・コールは、指差し唱和の一種といえます。その特徴は、チーム全員 が手を重ね合わせたり、組み合わせたりして触れ合いながら行います。
全員でスキンシップを行うこのタッチ・アンド・コールはチームの一体感、連帯感を 高め、チームワークづくりに役立ちます。同時に、大脳の旧皮質(欲求や感情を司る脳) によいイメージを叩き込み(社会帰属性・・仲間でいたい、ルールを守ろう、ケガをし たくないなど)、無意識に安全行動をするように、ウッカリしたりボンヤリしたりしない ようにするのがねらいで、チーム活動のメリハリをつける時などに活用しましょう。
(1)タッチ・アンド・コールのやり方
指差し唱和と同様、リーダーの「~ ヨシ!」に続いて、全員で「~ ヨシ!」と 指差し唱和をします。
KYTの研修会で行っているタッチ・アンド・コールの型の例を以下に3種類示 します。です。チームの人数に応じて3種類を使い分ければよいでしょう。
You Tube参考:ビデオ:指差呼称の実践方法
指差呼称 イラスト