安全衛生改善計画書
職場における事故や災害を防止し、労働者の安全と健康の増進に努めるのは、事業者の責務です。(労働安全衛生法第3条他)
しかし、実際に何を実行すれば安全や健康が増進できるのか、は、企業の規模や、各企業が持つ各々の事情などもあり、単純には決められないものです。
そこで、 厚生労働省は、安全衛生活動を具体的に実行し、向上させるために「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)」の構築についての指針を示し、導入を勧めています
このシステムは、「安全衛生計画」の作成(Plan)、実施(Do)、評価(Check)および改善(Act)を中心としており、安全衛生水準の向上には「計画」が重要であると明示されています。
積極的にOSHMSを導入し、安全衛生計画書を作成・実施した事業所などからは、実際に労働災害がゼロになったという事例も報告されています。
(社)安全衛生マネジメント協会サイトから下記のような安全衛生計画書チェックシートのダウンロードできます。
1 安全衛生改善計画書
安全衛生改善計画書は、労働安全衛生法第78条
安全衛生改善計画書の作成指示を受けた事業場は、4月から翌年の3月までの1年間労働局と事業所を管轄する労働基準監督署の労働基準監督官、産業安全専門官、労働衛生専門官などによる個別指導を受けます。この1年間は、事業所が作成した安全衛生管理計画書に従って安全衛生管理活動を進めているかの確認と指導のための監督署からの定期的な訪問がありますので事業所では緊張した日々が続きます。
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平成18年より実施が努力義務となった危険性または有害性等の調査(リスクアセスメント)とそれに基づく改善措置の実施は、安全衛生改善計画書の中核と位置づけられています。リスクアセスメントとは、職場にある危険の芽(リスク)とそれに対する対策の実情を把握し、労働災害に至るリスクをできるだけ低減して労働災害が発生しない職場を実現するための手法であり、安全衛生改善計画書を作成するにあたってリスクアセスメントを実施して、具体的なリスク低減措置を踏まえた計画とすることで、より効果的な改善計画書となることが期待出来ます。
また、安全衛生改善計画を作成する場合、事業者は、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見をきかなければなりません(労働安全衛生法第78条
2 安全衛生改善計画書の内容
改善計画書の計画事項には、施設に関するもの、安全衛生教育、安全衛生管理体制に関する事項、リスク低減措置になり得るもの、労働災害の防止と職場環境の快適化を目的とし又はこれに寄与し得るすべての対策などが含まれます。かなりの範囲に及びますが、安全衛生改善計画書の作成指示を受ける時に労働局による集団指導があり、その後も局または監督署で相談に乗ってくれますし、労働局が勧奨する労働安全・衛生コンサルタントの指導を受ければ、改善計画書を樹てることは出来ます。大事な事は、立てた計画を実行・実施することです。また、改善措置の実施に当たっては、リスクアセスメントの指針「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」又は「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に示すリスク低減措置の優先順位を考慮することが重要です。
3 計画書の承認
安全衛生改善計画書は、安全委員会、衛生委員会または安全衛生委員会の承認を得て実施されます。計画内容はあくまで、社内での計画のためある程度の変更などは止むを得ませんが、記載内容にある法定事項(健康診断の実施、安全衛生委員会の実施、衛生管理者による職場巡察等)については確実な実施が必要です。
4 事業場の努力と成果
安全衛生改善計画書の作成によって、それぞれの事業場においては、計画策定後、重大な労働災害発生件数の減少及び安全衛生管理活動の改善が期待されます。同時に、経営トップが事業場の安全衛生に積極的に関与する事により、品質の改善と作業能率及び生産性の面にも好ましい影響をもたらし、企業経営の貢献にもつながります。